水中などに散らばる「環境DNA」を集め解析し生息する生きものの全体像を一網打尽的にキャッチするという最先端の科学調査の体験会が、高校生の手でしかも小学生以下も対象にするユニークなスタイルで、このほど箕面で開かれました(12/22)。
(注)DNA=デオキシリボ核酸の略。この核酸は生物の遺伝にかかわり、「遺伝暗号」といわれる4種類の塩基(一言でいうと、水に溶けるとアルカリ性を示す物質)を含みます(たった4種類。でもその組み合わせは、実に多種多様・・)。
開催は、箕面・萱野にある「らいとぴあ21(市立人権文化センター)」が行う“まなびカフェ”。
企画・運営は、大阪高等学校(学校法人大阪学園:大阪市東淀川区)の「科学探究部」の生徒たち。
白衣に「正装」した高校生たちの「DNA・・・」などとのレクチャーで、スタート。
続いてみんなで近くの千里川へ向かい、橋の上から採水。
採水作業は、ヒトのDNAが混ざらないようにビニール手袋をはめるなど厳密に・・。
川の水には、魚などの糞・粘膜などの破片が・・。
それらの破片のDNAを集めるため、室内へ戻って採水を吸引器を使い白い濾紙(ろし)にDNAをこし取ります。
この濾紙を冷やした状態で大学などの研究機関へ送り、DNA解析を依頼。
解析作業は研究機関で行い、体験できないので・・。
高校近くの川の以前の採水の解析データを使って、パソコン作業へ・・。
CACCG・・などとの遺伝子情報(塩基配列)が並ぶデータをマウスにコピーし、パソコンで全国的な生物遺伝子データベース(データの集積ブック)と照合。
照合の結果、遺伝子情報に対応した個々の魚などの生物の学名が判明。
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さらにこの学名をインターネットの検索にかけると、魚の和名や解説が・・。
小さな子供たちもマウスを手に 「あっ、これはグーグルだ!」などと叫びながら、パソコン操作に夢中・・。
終了後、小学3&6年生兄弟に「分かった?」とたずねると、「うん」とうなずきました。
高度な情報の時代・科学の時代、今の子供たちのパソコンや科学の知識はかなり進んでいるのかもしれません。
今回の千里川の調査結果は、今後、箕面で何らかの形で公表される見込みです。
なお、同校の「科学探究部」は、「環境DNA学会(2018年設立)」の「第1回東京大会(同年9月)」に参加するなど活躍しています。
この体験会に参加した箕面の「生きもの会議(生物多様性会議)」代表の石田達郎さん(高校の理科の先生)は、「環境DNA」の可能性について、こう語っています。
「・・川や池の水を分析するだけで、そこに棲んでいる生きものの種類や、ある程度の数量までわかるというもので、実際にやってみると『ハクレン』が『44%』とかわかるんです。・・」
【コメント】期待が大きい「環境DNA」調査
新しい「環境DNA」調査は水中・土中・空中に及ぶとともに、従来からの多くの労力を必要とする直接的な観察・捕獲などの調査に比べ、間接情報ながら効率よくまた野生生物への影響や犠牲がほとんどない形で、生息生物の情報を把握できるようです。
今後の可能性は大きいと、期待されます。
(NPO花とみどり 事務局)