★ 6年間かけて・・
箕面の瀬川地域で、木々のこかげのもとお花や清流を眺められる“石澄川(いしずみがわ)花の散歩道”(63m)が、箕面川との合流点北側の石澄川東岸に、昨秋、整備。
その際に植えられた花木・草花がこの春に見事に咲き、お披露目のセレモニーへ・・。
現地で5/12(日)にセレモニーが開かれ、「散歩道」の関係者や住民など約40人が集まりました。
この「散歩道」は、河川管理者の府池田土木事務所が住民との6年間にわたる話し合いに基づき整備。
今後は、府のアダプトリバー制度※に基づき、住民がボランティア組織「石澄川花の散歩道の会」(代表:谷田さん)を編成、「散歩道」のお世話をします。
※アドプトリバー制度:住民が河川を我が子のようにとらえ(=養子にする=アドプト)、府・市のサポートを受けながら美化・清掃などをするシステム。
★ 地域シンボルの「センダンの大木」伐採問題がスタート
6年間を振り返ると、発端は箕面川・石澄川合流点に立ち地域のシンボルだった「センダンの大木」を、池田土木事務所からの要請で住民ぐるみで激論しつつも理性的に話し合い、治水面や後背地の開発からやむをえず伐採に至ったこと。
★ 住民組織「瀬川 親水・散策の場をつくる会」が発足・・ワークショップへ
行政からの突然の要請にはやはり“受け身”になりがちとの反省から、ふだんからの“環境を守る意識的な取組”が大切と、箕面川を軸に一帯の環境を守り生かす住民組織「瀬川 親水・散策の場をつくる会」(代表:川端さん)がスタート。
同会が呼びかけ、池田土木事務所と川辺林(河畔林)の保護など、川を生かす環境づくりのワークショップ(話し合いの場)が何回も・・。
途中で洪水により石澄川の箕面川合流点手前の岸の根元(護岸)が大きく傷むという災害が発生、その修復工事にあわせ散歩道を整備する方向へ・・。
★ 川沿いの樹木を住民が1本ずつチェック → 伐採・保全を検討
まず川辺林の保護では、専門家・樹木医の意見も聞きながら、住民みんなが川沿いに樹木を1本ずつチェックして回り、治水や景観面から保全・伐採を検討。
この段階で、主に大木のそばの住民からは落ち葉や日当たりなどから伐採の希望が・・、一方、やや離れた住民などからは景観面で保全の希望が・・。また、治水面からはできるだけ川沿いの樹木を伐採すべきなど、複雑な議論が・・。
最終的には関係者のコンセンサスにより、川沿いの大木の一部は伐採、概ねは川面を覆う大枝をせん定したケースを含めて保全へ。
★ 「散歩道」を仮整備ーあり方をテスト
続いて、散歩道の形状やほ装(舗装)などの議論へ。
池田土木事務所の提案で、一気に整備するのではなく、まずテスト的に自然風のマサ土ほ装(真砂土舗装)※などで仮整備し、しばらく利用した後、人々の評価・納得を得て本番の整備工事へ・・。
その後、ほぼ仮整備どおりに整備。
※マサ土ほ装:花崗(かこう)岩が風化したマサ土を固めたほ装。アスファルトほ装などに比べ、自然に近い土色で、保水力があるため路面の温度があまり上がらず夏場の照り返しなどを緩和、工事残土を再利用できるなど、環境にやさしいほ装。
★ 植栽帯は“庭園風”に・・
「散歩道」には花壇など植栽帯が作られ、花木や草花が・・。
その際、住民の中の園芸専門家の意見を参考に、クルメツツジを植えるなど質の高い和風の「庭園風」イメージに・・。
★ ホタルに配慮した河道の整備も・・
池田土木事務所は進んで「散歩道」横の川底工事で、コンクリート張りでなく生きものにやさしい石詰めマット(籠)で整備。
災害復旧の護岸も、土を残し木の杭と板とで施工・・。
また川辺林を多く残したことも、日陰による夏期の川の水温上昇のブレーキ効果や葉にとまって休息できるなど、ホタルにとってとてもプラス・・。
こうして、ホタルが幼虫時代を過ごしやすく、羽化しやすい環境に配慮・・。
★「散歩道」は、長年の努力が結実
今回は、こうした努力が実を結んだもの・・。
それだけに、セレモニーに集った人々の喜びもひとしお・・・。
★ 今後も取組へ・・
今後は、「親水・散策の場をつくる会」が住民に呼び掛け編成したボランティア組織「石澄川 花の散歩道の会(27人)」が、さらにメンバーを募集し散歩道のお世話を・・。
代表の谷田さんのお話:
「この散歩道を皆さんの憩いの場・交流の場・コミュニティづくりの場となるよう、しっかりと育てていくつもり・・」
また「つくる会」は地域の9自治会500世帯などの住民の要望を受け、川沿いのさらなる散歩道の整備やホタルの保護・復活などに広く取り組む見込み(検討中)。
【コメント】「石澄川花の散歩道」づくりに学ぶ
“石澄川 花の散歩道”などの取組からは、学ぶべき多くの教訓が・・。
特に注目すべきは、行政と市民の協働型の「ワークショップ」方式。
これは、河川管理者の府(池田土木事務所)をはじめ、コーディネート役の学者・府会議員、側面的協力の市、さらには地域環境づくりへの熱意を持った住民が集まり行われました。
センダンの大木の伐採問題の最初の約1年間は「府:住民」の構図で、理性的なやりとりではありましたが、どうしても交渉的になりやすく限界が感じられたよう・・。
府会議員の提案で行政・住民協働型の「ワークショップ」方式へ移行し、問題を整理し調整するコーディネート役(学者)が加わったことで、会合のやりとりが客観的でスムーズになったようです。
こうした「方法」としてのワークショップ方式、樹木調査などでの住民参加&樹木医(専門家)協力方式、テスト的施工などの教訓とともに、「技術面」では問題樹木のせん定(いきなり伐採でなく)、マサ土舗装、庭園風の植栽帯、ホタルにやさしい河川工法などの実験的なものも含め貴重な経験・教訓が生まれました。
「NPO花とみどり」は、今後とも市民と行政との協働をベースに、市民全体の取組をけん引する拠点的な環境づくり・川を生かした地域づくりなどを応援していきます。
(NPO花とみどり 事務局)