今、多くの水鳥のオスが、“恋の季節”を控え羽を目立つ色で概ね鮮やかに飾っています(生殖羽=冬は観察のチャンス!)。
そのため「真冬を満喫!」を掲げ、生きもの会議(会長:石田達郎さん)が第1回目の水鳥を主にした“冬鳥ウォチング(観察会)”を開き、西宿の2つの池を巡りました(1/11)。
参加者は、親子を含む大人10人+子供5人=15人。
また、大阪自然環境保全協会から野鳥に詳しいメンバーも参加・・。
一行はまず双眼鏡の使い方などのレクチャーを受け、キューズモール東側の西宿集落の「竹狭間池(たけはざまいけ)」へ。
寒い日で、氷が水面の約三分の一に張ったまま・・。
この池は、昨シーズン(2019~20年の冬)の全市的な調査(同会議)では、水鳥が一番多く観察された所。
この日も多くの水鳥が・・。ヒドリガモ20羽、オオバン2羽、カイツブリ1羽 など。
見ていると、水鳥はなぜか?~ほぼいっせいに飛び立ち向こうの田んぼへ、ややするとまたいっせいに池へ戻る・・往復ショーを繰り返し、迫力いっぱい!
続いて、一行は近くの木戸が池緑地(公園)の中の「木戸が池」へ。
この公園は約15年前のショッピング街開発の際に、“ビオトープ(人と野生生きものとの共生の場)”をテーマに整備された公園。
池を見下ろす斜面上に、りっぱな木製の「バードウォチング・テラス」が作られいて、この日の催しにはピッタシ!
ここから水鳥を、じっくり観察・・。
この日は、オカヨシガモ3羽、オオバン+バン+ハシビロガモ?各2羽、コガモ1羽が・・。
オカヨシガモは絶滅危惧種にしている県もあるなどやや珍しく、くるりとお尻を垂直に上げ餌を食べる逆立ち姿は「かわいい」と好評。
また、隣接して流れる千里川には、青緑がかったひすい(翡翠)色のカワセミも・・。
今回の催しはコロナ禍もあり、ややこじんまりと開催。
でも充実した内容で、「生きもの会議」の冬鳥ウォチングのスタートとしては、成功したといえるでしょう。
【参考:箕面の主な「冬の水鳥」白書(但し、まだまだ調査中)】
~ 全市的な冬鳥調査(昨シーズン実施。生きもの会議)の結果から ~
昨シーズンの調査では、水面が広がる32池を訪れうち22池で、水鳥12種・220羽(単純合計※=221羽。※3日間調査)を観察。
★ 箕面の冬の水鳥総数は、推定:400~500羽
箕面のため池数は60前後(各種資料。規模がかなり小さいとみられる個人有8池を除く)、調査対象は32池でザッとその半数。
したがって、全市的な冬の水鳥の概数は、昨シーズンは220羽✕2倍=440羽≒400~500羽と推定※。
(注)
※ 参考のため、市内の箕面川ダム湖を視察(この1月)。概観では水鳥ゼロで、上の市内総羽数の推定が大きく変わる可能性は低いとみなされます。でも、なぜ、ゼロなのでしょうか?
また、市内の各河川及び、止々呂美のオートキャンプ場の池は、未調査。
※ 昨シーズンの調査は間隔をあけた3日間(昼間)で、鳥の移動などにより観察数の漏れ(-)や重複(+)がありえます。したがって、ここで示すのはおおざっぱな傾向です。
★ 主には 渡り鳥6種 & 留鳥2種
調査では、10羽以上が観察された箕面の主な水鳥といえるのは8種類。
渡り鳥は、ホシハジロ・コガモ・キンクロハジロ・マガモ・ヒドリガモ・ハシビロガモの6種。
一方、1年を通じ国内にいる留鳥は、カルガモ・オオバンの2種(オオバンは、国内移動鳥(夏は北海道)=漂鳥)。
主な水鳥8種のうち、ヒドリガモなど6種は種ごとの羽数の大半(40%以上)が特定の池でまとまって観察され、多分、今の季節は「集中型」生息タイプのよう・・。
一方、ホシハジロ・オオバンの2種は、各池に数羽ずつ分かれる「分散型」生息タイプらしい・・。
※ これは昼間の様子で、眠りにつく夜間の様子は未調査。
表:箕面の冬の主な水鳥のリスト(種判明で、10羽以上)
① ホシハジロ:計37羽。神田池(じんでんいけ。今宮)に22%など【分散型】。
② カルガモ:計24羽。曲がり池(萱野)に50%など【集中型】。
③ コガモ:計23羽。当対池(とたいけ。坊島)に52%など【集中型】。
④ キンクロハジロ:計18羽。芦原池(箕面)に40%など【集中型】。
⑤ マガモ:計17羽。裏新池(石丸)に53%など【集中型】。
⑥ ヒドリガモ:計14羽。竹狭間池(たけはざまいけ。西宿)に86%など【集中型】。
⑦ オオバン:計12羽。沼田池(今宮)に25%など【分散型】。
⑧ ハシビロガモ:計11羽。沼田池(今宮)に55%など【集中型】。
※ なお、特色がハッキリせず種類を判明できなかったカモ類が59羽。主にメスのはずですが、生殖羽に変わる前の地味な羽のオス(エクリプス という)もいたかも・・。
(2019~20年冬期シーズン。全ため池の半数を調査。生きもの会議)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
★ 大小に関係なく、ほとんどの池で10羽程度
調査では市内22池で220羽の水鳥が観察され、平均は10羽/池。
池の面積と水鳥の数とは比例せず、観察された各池に数羽~十数羽の範囲でほぼ横並びで生息【下のグラフ参照】。
何となく「大きな池にたくさん」と思いますが、意外にもそうではなかった・・。
箕面の水鳥の多くの種類は大きな群ではなく、十数羽以内の仲間とこじんまり暮らす・・でしょうか?
その理由は、餌の関係か、鳥たちの仲間意識か、その他か?、ハッキリせず・・。
現に小さな池(0.1~0.2ha)であるひょうたん池・長池(共に粟生間谷東)、墓の谷池(粟生新家)などにも、水鳥は来ています。
水鳥からすると、「小さな池でも、残しておいて欲しい」でしょう。
少なくとも箕面では、水鳥保護には「池の大小に関係なく、各池の保全が大切」・・のようですね。
(2019~20年冬期。「生きもの会議」の調査から作図)
【上のグラフの補足説明】
上のグラフでは、全体傾向から外れて、上方に2池がプロットされてます。その事情の説明です。
《①竹狭間池(昨シーズンの調査では、48羽)》
調査で水鳥が箕面で1番多かったこの池は、一部が住宅に接していますが、周りは田んぼです。近所の人の話では「餌付けはされていない」「冬中、ズッーとたくさんいる」「カワセミも来る」とのこと。
ここにはヒドリガモが集中、昨年(12羽)・今年(20羽)と観察され、この鳥が観察数を押し上げ、「鳥数の多い池」になっているようです。そのため、今後も集中生息型のヒドリガモがやって来れば、「鳥数の多い池」という傾向は続く可能性があります。
なお、昨シーズンは総数48羽でとりわけ多かったのは、「種類を判明できなかったカモ類」が半分近く(28羽)を占めていたからです。今年はこの鳥がおらず(ゼロ)、昨シーズンは偶発的な現象かともみられます。
《②沼田池(昨シーズンの観察では、30羽)》
2番目に多いこの池は人による餌付けがされているようで、その影響で多いのでしょう。
でも市内の水鳥数百羽のうち、この池へ来るのは30羽程度。他の多くの水鳥は、どう思っているのか気になりますね。餌づけの餌に魅力がないのか(食べない種類の餌?)、餌の量が不足なのか・・。
★ “水鳥とため池の多さ”~箕面の特徴の1つ
箕面の自然的な環境の豊かさの1つが、“水鳥とため池との多さ”といえるでしょう。
もちろん、水鳥の生息は、主にため池に支えられています。
ながらく保全状態が続いてきた箕面のため池ですが、最近、いくつかの池の埋めてが浮上。
これからの環境重視・人と生きものの共生の時代では、人にとっても水鳥にとっても貴重で、さらに多くの公益機能を持つ箕面のため池について安易に埋め立てず、その保全と活用へ知恵を出すことが望まれています。
(冊子『箕面のため池』2015年3月・暮らしの景観研究会発行から)
※ 図の赤線で囲んだのが、今回、ウォチングした池。
※ この冊子は、「みのお市民活動センター」(かやの中央)の窓口で配布中(無料)。
【コメント】
今回の「ウォチング」は、市民に「冬鳥」とともに、「ため池」に親しんでもらうことがねらいです。
この両方を、今後、どう守り活かしていくかーご意見をお寄せください。
(NPO花とみどり 事務局)